アートにおける“KAWAII(カワイイ)”の価値

 

日本語で世界に広がりを見せている言葉に「カワイイ」がありますね。
これがアルファベット表記でそのまま “KAWAII”  となって世界各地に伝わっているわけです。

さて、世界に通用している現代アート作品にも、“KAWAII”  を表現しているものが多くあります。
村上隆さんや奈良美智さんを中心としたアーティストの作品が有名ですね。

村上隆さんは “DOB君”  というネズミを模した目の輝いたキャラが “KAWAII” ですし、奈良美智さんですと目の大きな少女が “KAWAII”  ですね。
ほかにも、村上隆さんが管理するカイカイキキのメンバーなど、多くの日本人アーティストが “KAWAII”   キャラを描いて活躍しています。

しかし、こうした  “KAWAII” キャラを描くアーティストの活躍を見るときに、注意すべき点があります。
それは、“KAWAII”   がメインで作品が評価されているわけではない、ということです。

村上隆さんは、“KAWAII” キャラを用いながら、戦後の安全保障が曖昧になった日本社会を象徴しています。
また奈良美智さんは、“KAWAII” キャラで若い世代の視点を用いて、社会を睨みつけています。


つまり、“KAWAII”   キャラを描いて評価されている作品には、その “KAWAII” が「必要条件」となっているのです。

世界に浸透しつつある “KAWAII” は、一定の価値にはなります。
しかし、単に世界各地や日本で浸透しているからといって、“KAWAII”  ありきの作品を制作するのは注意が必要です。

“KAWAII” はその特徴の強さのため、テーマやコンセプトが認識される前に、“KAWAII”  という一つの主張で認識されてしまう可能性があります。
その瞬間、その他多くの「カワイイ作品」あるいは「カワイイ小物」などと同じ風に見られてしまうのです。


 



Comments are closed.