コンペ式展覧会でつかめるチャンスの量

アーティストへの道の一つとして、展覧会式コンペを考えている人は多いかと思います。

なぜなら、美術関係者に直接、高い評価をもらえる可能性があるからです。

ですが、コンペは時間のコストに対して美術関係者に見てもらう機会が少ないと
私は考えています。

なぜかは、どれ位の美術関係者に見てもらえるか想定すると明らかです。

まず、1回のコンペ式展覧会では審査員が少なくて3名、多くて7名程です。
平均を仮に5名とします。

次に、年に何回出展できるか検討するため、作品制作にかかる期間を算出します。

作品制作の期間は、サイズが大きく影響します。

作品のサイズは、展覧会ごとに規程があります。
(審査会場の広さ、そこに作品を運ぶまでの通路の広さが勘案されてます。)

規程内の最小サイズを出展するのは、表現範囲が狭まり不利になります。
そのため、ある程度のサイズが必要です。
仮に100号とします。

100号を1枚仕上げるのにかかる時間は、私の場合は3カ月かかります。
構想、エスキース、ドローイング、本制作まで、
人によりかかる時間が異なりますが、ここでは最短で2カ月とします。

2カ月で1回のコンペに出展できることになるため、
年に6回の出展です。

審査員の1回平均が5名なので、見てもらえる人数は年に最多で
30名となります。

一年中、猛烈に制作して30名って少なくないですか?

しかも審査員は出展する展覧会で重複することもしばしばです。
すると、もっと減ってしまいます。

しかも、出展しようと選べる展覧会は限られる上(作品方向性の合う合わないがある)、
審査員の入れ替わりはさほど行われないため、毎年ほぼ同じ審査員に見てもらうことになります。

となると、数年間で美術関係者に見てもらえる人数は20〜30名ほど…。

人生をかけて就活する大学生は、100社とか200社に応募します。
その内、何とか数社に内定もらって御の字という時代です。

これが「20社しか応募できません。」ってなったら焦りませんか?

いかにコンペ式展覧会がチャンスを切り開くのに難しいか。
アーティストを志す人は、チャンスを創る能力も問われているのです。

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