絵画に “点数” はつけられるか

 

 
絵画に “点数” はつけられるのでしょうか。
 
この疑問は、“自由の最後の砦” ともされるアートにとって、手痛い疑問です。
しかし、現実を把握するためにも、しっかり検討が必要です。
 
 
まず前提。
 
絵画はアートです。
そして、アートは自由です。
ゆえに、絵画は自由です。
 
 
この、アートは自由、という前提が絶対なら、上記の『三段論法』で、絵画の自由も決まりです。
 
しかし、残念ながら『三段論法』は当てはまりません。
それは、以下の事例が示す通りです。
 
 
芸大美大受験では絵画に序列をつけ、合否が決まります。
 
展覧会式のコンペでも、同様に序列をつけ、入選落選が決まります。
 
アート業界でも、セカンダリーマーケットで作品価格がつき、アーティストの序列が決まります。
 
アートの歴史でも、重要な書籍に掲載する作品が選ばれ、歴史に残るアーティストが決まります。
 
 
いかがでしょうか。
アートで表現する内容は自由といえど、それはどこかで “点数” や “順位” が常につけられ、“選別” されているのです。
 
選ばれるものあれば、選ばれないものあり。
当然といえば当然の成り立ちです。
 
だからといって、絵画の描き手たちは、“点数” をつけられる事実を無条件に受け容れるべきではありません。
 
それは、点数をつける場合に、基準や指針が必要だからです。
 
受験であれば、
「対象を写実的に描けているか」
「絵画の構成要素の可能性を引き出しているか」
などが基準になります。
 
展覧会式コンペでは、
「その展覧会の目的にふさわしいか」
が基準になります。
 
 
上記のような基準や指針が見えないのに、闇雲に点数をつけることは、意味を成しません。
というより、基準や指針が見えない状態で点をつけるのは、ただの趣味です。
 
絵画を描き、それを人前に出すということは、少なからず評価の対象になります。
その出し場所での基準や指針を承知の上で、絵画は外に出さなくてはいけません。
 
辛いように見えますが、実は多くの “選別” があるからこそ、自分の絵画がどの “場所” に存在するのが適しているかを、理解できるのです。
 
 
 
 
 

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