一枚の油絵を描き出す時、キャンバスの画面全部に何らかの色を塗るように指導を受けることがあると思います。
いわゆる “下地” や “下塗り” といわれる行程です。
描きはじめに、“下塗り” の行程を経るのは、油絵制作の中でも、“王道” です。
そのため、今も多くの油絵指導の現場では、“下地” や “下塗り” の指導が行われています。
ところが、多くの現場で “下地” や “下塗り” の指導が行われていても、「なぜ “下塗り” をするか」はあまり説明されません。
なぜなら、“下塗り” は “やって当然” なっているからです。
しかし、せっかく“下塗り” をしなくてはいけないのであれば、理由が知りたいですよね。
では、なぜ “下塗り” をする必要があるのでしょうか。
それは、“重ね塗り” の効果です。
下塗りのあとに色を重ねると、上から重ねた色の下に、下塗りの色が透けて見えることがあります。
わずかでもこの現象が生じれば、その現象が生じたあたりの色は “深み” が出ます。
この重ね塗りによる “色の深み” が、油絵(アクリル画)の醍醐味なのです。
すなわち、この “重ね塗りの効果” を効率よく出すために、“下塗り” をするのです。
あらかじめ画面全部に “下塗り” をしておけば、どの部分に色を塗っても、“重ね塗り” の効果が得られるのです。
そして、前回のエントリーでも書きましたが、モチーフの複雑な色味を出すのにも、“重ね塗り” は効果的なのです。
では、何かあれば教えてね!