絵画を描く場合、まず “何の素材” で描くかを選ばなくてはいけません。
油彩画を選ぶ人は、油絵の具を中心とした画材を用意します。
しかし油彩画には最大のデメリットがあります。
それが「油絵の具の、乾きの遅さ」です。
純正の油絵の具を使用し、表面的ではなく完全に乾くまでには “30年” かかるという話もあります。
油絵の具は、そのデメリットのため、替わりにアクリル絵の具を併用したり、アクリル画材のみで描く人も多くいます。
私もこのデメリットを解消するため、アクリル絵の具を使用しています。
なぜかアクリル画という言葉は、 “油彩画の表現の一部” という解釈が続いているため、あまり表面に出てきません。
しかし、現在のペインティングアーティストは、アクリル画材を使用している人は多いのです。
上記のように、アクリル画材を油彩画と分けて考えると、油彩画のデメリットが目立ちます。
しかし、依然として、油彩画を選ぶ人も多くいます。
そして、アクリル画ではなく、“あえて” 油彩画を選ぶ人もいるはずなのです。
そのような人は、なぜ油彩画を選んでいるのでしょうか。
ここでは、油彩画の発色やツヤなどの要素ではなく、“乾きが遅い” ということに的をしぼって油彩画のメリットを考えてみます。
つまり、油彩画の最大のデメリットである “乾きの遅さ” は “最大のメリット” なのではないか、ということです。
では、具体的にどのようなメリットがあるか挙げてみると、
「いつでも消せる」
「いつでも加筆できる」
「いつでも混色できる」
といった要素になります。
気づきましたか?
“いつでも” が共通していますね。
つまり、油絵の具は乾くまで時間がかなりかかるため、乾くまでの間、自由が利くのです。
「大きな面」や「長い線」などを、一息で描いたかのように見せることも可能になります。
自分がどのような表現をしたいのかを考えるとき、素材の持つ効果はかなり重要になります。
“乾きの遅さ” という油絵の具は、計り知れない効果があり、今後もニーズが失われることはないでしょう。