配色を決めるタイミング

 

絵画の制作には、必ず色彩がともないます。
そのため作品をどんな色合いで仕上げるか、悩まれる方もいらっしゃるかと思います。

特別な思い入れのある色はない、とびきり好きな色もない…。
それは決して、おかしいことではありません。ふつう、色は迷うものなのです。

そんなわけで、描きながら画面の配色を考えてしまうのです。

この進め方の場合、困った事態が生じます。
それは、なんとなく色んな色を配置していくと、 “イイ感じ” のタイミングがくるからです。

“イイ感じ” ならイイじゃん、と思われるかもしれません。
しかし、“イイ感じ” は制作の途中で、 “何回か” きます。
“何回か” イイ感じがきてしまうため、どの “イイ感じ” の色を残すかの判断が難しくなるのです。

結局仕上がってから、「途中のほうがよかった」とか「右上だけは良い」といった作品になる可能性が高まります。

絵画に偶然的な「運」はつきものですが、ある程度は「運」をコントロールしたいものです。

そこで、「運」をコントロールするために必要なのが、

「描きはじめる前に、おおまかな配色を決めておく」

です。

描きはじめる前に決めるのが難しい、という意見もわかります。
決めるためには、以下を基準に色の配置を検討してください。

・テーマに関連した配色を選ぶ
・表現に関連した配色を選ぶ

「テーマに関連した配色を選ぶ」は…
東京のビル街をシックに描きたいので、クールな寒色系(青系、グレー系)で仕上げる。

「表現に関連した配色を選ぶ」は…
人体の、生命力あふれる肌を勢いある筆致で描く。その勢いに合う赤系(赤系、オレンジ系)で仕上げる。

といったように、おおまかに配色を決めてください。

なぜ、きっちり配色を決めずに “おおまか” に決めるのか。
それは、制作過程で生じる “イイ感じ” をうまく残すためです。

完成時の配色がおおまかに決定されていれば、その配色に近い “イイ感じ” の色を残せば良いのです。

また、最終の配色が決まっていれば、途中までいろいろな色を試すことが可能になります。
“イイ感じ” にならない部分は、予定通りの配色で仕上げれば、「運」要素で質が下がるのをふせぐこともできるのです。

ここまでのように色に悩む方とは反対に、作品に配色パターンが決まっているアーティストもいます。
常に赤の同系色で描く、などです。

この場合は、仕上げの色合いでは悩みませんが、作品がパターン化する可能性があるので注意が必要です。

 

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