現代アートは歴史に残った作品と渡り合えるか

 

現代アート作品は、過去から現代まで残る、歴史ある芸術品に対抗できるでしょうか。

ある方は、歴史ある芸術品と比べ、現代アート作品が今ひとつである、と述べていました。
理由は、「作品制作に奴隷が使えない」ということでした。

つまり、膨大な数の奴隷が、その生涯をかけて手がけてできた作品は、現代のアーティストが作品にこめる作業量の比にならない、ということです。

確かに膨大な数の奴隷が、その生涯をかけて手がけた作品は、凄まじい質量をもつことになります。
ヴィクトリア&アルバート博物館にあるような工芸品は凄まじい質量でしょう。

ピラミッドを完成させた時代は、奴隷の労力を使うことが前提とされています。
そのため、労力の総量と、その環境にある素材を用いた作品を当時の人は発想します。

権力者は、作品の質量を最大化させる発想にかたよるのです。

しかし、見る人の価値観も時代に応じて変化しています。
現代は、奴隷がいた時代の作業量が感動の基準となる時代とは違います。

現代の多様な価値観の中で強いメッセージを打ち出すには、作品の質量を最大化させれば達成できるわけではありません。

現代に生きる人に新しい価値を提示するには、作品にコンセプトを足さなくてはならないのです。

確かに作品の質量を大きくする素敵な作品もありますが、
その素敵さを支えるコンセプトが隠れています。

アートは “手作業の総量” だけで優劣をつけるものではありません。

コンセプトが組み合わされるからこそ、エキサイティングな現代アート作品がうまれるのです。

 

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