絵画初心者が、 “黒” を使ってはいけない理由

 

初心者が色を使って、絵画を描き進めるときに注意しなくてはならないことがあります。
それは、“黒を安易に使ってはいけない” ということです。

なぜ、黒を使ってはいけないか。


“黒は『無』” だからです。


黒は、一切の光がない、完全な闇を意味します。
何もモノが存在しない、“ゼロ” ということです。

そのため、モチーフの影が暗く見えるからといって、暗い箇所に黒を塗ると、とんでもないことが起きてしまいます。
黒を使用した箇所が、すべて “ゼロ” として何もない場所となってしまうのです。
モチーフの輪郭線として黒を使用すれば、そこも “ゼロ” の場所になってしまいます。
やがて画面内は、“ゼロ” の部分が多発して、暗い部分の説明が飛んでいった、チグハグな印象の絵画が仕上がります。


暗く見える場所は、実は様々な色味と明度のトーンが潜んでいるのです。

“暗いから、黒を塗ろう!” と、早く処理したくなるかも知れません。

しかし、そこをグッとこらえて観察し、微妙な色味とトーンを追いかけてください。
その訓練が、色や描写の深みを出す技術へと結びついていくのです。


 



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