絵画には、“リズム” があると、より表現が豊かになります。
「絵画にリズムがある」と聞いたり、言ったりしたことがあるかと思います。
そもそも、絵画における “リズム” とは何でしょうか。
音楽のリズム(拍)は、音が一定の間隔で鳴ったり、その音に強弱があることで、“継続的な響きを体感できる” のです。
この “継続的な響きを体感できる” 状態は、絵画にもあるのです。
つまり、絵画の画面の中で、“音” の替わりになる “対象” があれば、その “対象” をコントロールして “リズム” を表現できるのです。
例えば、画面の中に「大きなリンゴを5個」、「小さなリンゴを5個」描いたとします。
これら10個のリンゴは、同じ大きさが集まらないように、なるべく均等に分散させます。
そして、これら大小のリンゴで構成された画面を視線で追っていくと、目に入るリンゴの大きさは一定の間隔で変化し、響きとなります。
こうした構成の応用が、絵画による “リズム” の表現なのです。
以前 “視点の誘導” について書きました。
“視点の誘導” は、画面の中をうまく回遊させ、導かせるものです。
絵画に “リズム” を持たせることとは、少し異なります。
“リズム” を持たせる場合は、画面のいろんな場所を “行き来” するように仕掛けることが重要です。
画面内を、全て自由に描ける場合は、先に挙げたリンゴの構成を原則としてリズムを表現できます。
ジョアン・ミロの作品は、特に素晴らしいお手本になりますね。
しかし、絵画を描く人の多くの場合、“対象があらかじめ決まっている” ことが多いでしょう。
みんながみんな、ジョアン・ミロのように自由な矩形を描いて良いシチュエーションではありません。
そんな、 “対象があらかじめ決まっている” 場合は、どう絵画のリズムを表現するのでしょうか。
それは、次回のエントリーで書きますね。