「絵画は本来、自由に描くもの」というフレーズを見かけることがあります。
このフレーズの対象は、絵画の初心者に向けたものでした。
この「絵画は本来、自由に描くもの」というフレーズを、発信した人が本気で謳っているとします。
そうならば、何も学ばず、何の技術も習得していない絵画が、“本来の絵画” ということになってしまいます。
要するに、“子どもが描いた絵画が、ホンモノの絵画” というわけです。
いかがでしょうか。違いますよね。
子どもが描いた絵画が、未熟なタッチながらに “真実” にせまることがあります。
真実にせまれている絵画は、確かに素晴らしいホンモノの絵画です。
しかし、多くの子どもの絵画は、「表現したいこと」に技術が追いついていないため、“真実” にせまることができていないのです。
つまり、自由に描いた子どもの絵画は、大半が真実にせまれておらず、“ホンモノの絵画” にはなっていないのです。
では、絵画で表現したいこと(=真実)にせまるにはどうすれば良いか。
それは、“型にはまって、学習する” しかありません。
この型にはまるという “不自由” を経験し、“型” の知識が増えるからこそ、自分にあった表現の高かたに出会えるのです。
つまり、多くの不自由こそが、自由(=表現が思いどおりいく状況)を獲得させてくれるのです。