デッサンにおける “立体感” の出し方

 

 
デッサンは、“モチーフの形状” をできるだけ正確に写し取る訓練です。
 
“モチーフの形状” を写し取るには、“立体感” の表現が欠かせません。
モチーフの形状には、モチーフの “凹凸” が含まれていて、この “凹凸” を出すことが “立体感” をだすことに結びつくのです。
 
では、デッサンにおけるモチーフの “立体感” はどうやって出すのでしょうか。
 
もちろん、“見えたまま” のモチーフを “写真のように” 写し取れるのであれば、“立体感” は出せることになります。
 
しかし、デッサンには、たいてい「時間制限」があります。
限られた時間の中で “写真のように” 描き込むのは、非常に困難です。
 
そのためデッサンでは、短時間でしっかりとモチーフの “立体感” を出さなくてはいけません。
 
 
“立体感” を出すには、“立体感の法則” を押さえておけば、スムーズです。
 
ではその法則とは何か。
 
それは、
「一つの形状内には、一つの明暗グラデーションがつく」
です。
 
 
例えば、人の顔(首から頭の上)を描く場合。
 
頭部を “一つの形状” とします。
そして、明るい場所から、暗い場所までを途切れのない “一つのグラデーション” になるように “タッチの濃淡” をつけます。
 
すると、頭部が一つの塊として、“立体感” を持つことになります。
 
当然、頭部には “他のパーツ” もあります。
目、鼻、唇、鼻筋の凹凸…。
 
そうしたパーツも同様に、“一つの形状として、一つの明暗グラデーションをつける” のです。
 
大きな塊から、小さな塊や小さな凹凸まで、全てに明暗グラデーションを施します。
最終的にそれらのパーツを自然につなげることで、立体感のあるモチーフを表現することができるのです。
 
デッサンで立体感を出したい場合、ただ「影をつける」だけでは、モチーフの形状をしっかり捉えることはできません。
 
大きな塊から小さな塊まで、それぞれ明暗表現を施すことが必要なのです。