地上波において、アート系のテレビ番組はそんなに多くありません。
そのため、限られた地上波のアート系番組を、興味がある人は見るわけです。
興味だけでBSアンテナを買ってまで、BSの美術番組を見る人はなかなかいないでしょう。
そのため、わずかなアート系のテレビ番組が持つ影響力は大きいといえます。
番組で流す “内容” は、視聴者にとっては “厳選されたもの” であり、アート界において重要なものと認識されます。
では、実際にアート系のテレビ番組は、どのような “内容” を放送しているか。
これが、ほぼ、国内で開催中の “展覧会内容” なのです。
アート系のテレビ番組は、時事の展覧会内容を放送時間いっぱい使って放送します。
つまりそこには、展覧会の “詳細レポート” があるだけで、“企画” が存在しないのです。
展覧会側は、テレビ番組で扱われれば “来場者が増える” 。
テレビ番組側は、展覧会を扱えば “番組企画を考えなくて済む”。
というWinWinの関係が結ばれているのです。
そして、真面目な視聴者は、「テレビが取り扱った展覧会は見にいかなければ」となってしまうのです。
番組側としては、「取り扱う展覧会の価値」を演出することに集中しているため、“どんなアートを、どのように番組で扱うか” という本質が欠けています。
アート系のテレビ番組は、実は “アート系” ではなく、“時事展覧会レポート” の番組なのです。
しかも、少ないアート系番組で同じ展覧会を扱うこともよくあります。
そんなにレポートいらないよ、って感じです。
といったツッコミを入れたところで、展覧会のみを取り扱う番組の方針は、当分変わらないでしょう。
番組側と展覧会側でメリットがありすぎるからです。
そして、視聴者のメリットは “多くの展覧会の内、一つの展覧会だけのレポート” を、ありがたく視聴することなのです。