失われ続ける “消極層” の才能

 

優秀なアーティストを発掘・育成するための、アート系コンペの機会は国内に結構あります。
しかし、それらは“アーティスト志向が高い人” 向けで、アーティスト志向が低い人には向いていません。

なぜなら、アート作品を手がけながらも自信がない人は、アート系コンペに消極的だからです。

そして、アーティスト志向が低い人の中にも、“光る” 作品を手がける人は、意外といます。

そうした消極層を発掘するシステム。
すなわち、貸しギャラリーでの展示や学内制作、ネットでの投稿など、地道な活動をピックアップするシステムは、現在ほとんどありません。

特に、地方ではその傾向が顕著です。
地方では、コンペもその地域限定のものが多く、全国向けではありません。
地域限定のコンペでも、そこからアーティストとして活躍できるステップにつながれば良いのですが、結局全国区へのアプローチを経なくてはならないのが現状です。

そして、全国区への心理的距離が遠く、アーティストとしての継続的活動を意識してない人も多いのです。


アート系コンペなどの主催者サイドは、“発表の機会” を与えることがアーティストの発掘を増やせると考えているのでしょう。
それももちろん、発掘の機会にはなります。

そして、コンペなどの “発表の機会” に参加しない人に対し、

「いくら才能があっても、やる気ないなら出てこなくていい」
と考えるアート関係者もいるでしょう。

しかし。

雑誌モデルになる全ての人が
「自分は絶対モデルになる!」と思ってなったわけではないでしょうし、
プロ野球選手になる全ての人が
「自分は絶対プロ野球選手になる!」と思ってなったわけではありません。

“周りの人” がすごく認めてくれる、
場を与えてくれる、
という事実があって、はじめて “火” つく人もいるのです。

そうした “火” がついていない芽をいかに消極層から見つけるか、
はかなり重要なのです。
にもかかわらず、まだまだアート界ではそのような発掘シフテムがない状態なのです。

アート系コンペの規模拡大よりも、あらゆる細かな活動場所での “スカウト活動” の充実が必要なのです。


 



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