教育機関で、“模写” が実施されない理由

 
 
前回のエントリーでは、“自然の模写(超写実)”、“作品の模写” の重要性を描きました。
重要にもかかわらず、実はこの二つ、教育機関ではあまり実施されていません。
 
なぜでしょうか。
 
 
一つには、“効果の高さが認知されていない” ということです。
 
模写は一枚にしっかりと時間をかけることで、自分の力を認知し、できることの幅が広がります。
効果の高さは前回のエントリーで書きました。
しかし実際には効果の検証すら行われていないでしょう。
なぜなら、模写は時間がかかるからです。
通常の課題が5〜20時間ほどになるのに対し、模写はそれ以上の時間がかかることが大半です。
特に “自然の模写(超写実)” は相当な時間が必要です。
 
 
二つ目は、“学習としてのオリジナリティーが演出できない” からです。
 
写真のように描き込んでいくこと、完成された作品をしっかりと模写すること、いずれも完成イメージが誰の目にも明確です。
完成イメージが明確すぎる、ということは “結果のわかった、つまらない学習” と判断されやすいのです。
 
実際は誤解で、絵画を学習中の人が完璧に模写をこなすのは難しく、結果はまったく分かりません。
しかも、完成イメージが明確だからこそ、個々の課題も明確になるのです。
そうした効果よりも、見た目で個々の生徒の作品に違いが出やすい、他の課題が選ばれているのです。
 
 
 
三つ目は、“一つの課題に時間を割きたくない” からです。
 
教育機関に勤める方にとって、担当する生徒のアウトプット(作品)が、教育者自身の成果でもあります。
そのため、生徒に多くの作品をアウトプットしてもらった方が、自身の成果になると考えがちです。
結果的に、短い時間で作品をスピーディに完成させる訓練に偏ってしまうのです。
一つの課題にしっかりと時間を割くような課題は、避けられてしまうのです。
 
 
こうした理由から、残念なことに教育機関ではあまり模写をさせてもらえないのです。
効果が高いため、非常に残念なことです。
 
 
 
 
 

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