自分と人間の限界を知る訓練

 
 
作品を鑑賞した時に、「スゴい作品だ!でも、自分にはできないだろうな」などと考えたことはないでしょうか。
憧れた作品のような技術が習得できるかは、やってみなくては分かりません。
 
 
絵画を続けていく上では、自分の力の可能性、人間の力の可能性、両方を知る必要があります。
なぜなら、自分の能力を検証しておかないと、能力への過大評価や過小評価につながります。
 
自分の能力を過大評価すると、習得していない技術の作品を計画し、完成までに頓挫してしまう可能性があります。
逆に過小評価すると、習得していない技術へのチャレンジが減り、成長を抑えてしまう可能性があります。
 
そして、自分と同じ人間ができたことなら、自分にもできる可能性は極めて高いといえます。
そのため、人間の力の可能性もしっておく必要があるのです。
 
 
自分の力の可能性、人間の力の可能性を把握する訓練は、
“自然の模写” と“作品の模写” です。
 
この二つを実施することで、自分の力だけじゃなく、人間の力も把握できます。
 
 

まず、自然の模写です。

 
これは、“見えたまま、そのままを描く” です。
 
「なんだ、普通のスケッチか」と思われたかも知れません。
違います。
普通のスケッチ、ではなく “写真と見紛うスケッチ” です。
写真と見紛うほどの絵の完成を目指し、どこまでできるかを把握するのです。
 
一枚の絵で、しっかり時間をかけて、徹底的に実施します。
実施の結果、形が合わなかったり、テクスチャが崩れてしまう(デッサンなら紙が傷む)、といった課題がわかるはずです。
その課題の質や量で、写実における自分の力を把握できるのです。
 
 
 
次に、作品の模写です。
 
名画と呼ばれる絵画、自分が感動した絵画を選び、模写を実施します。
どこまで本物に近い絵で完成できるか。
 
本物に近い完成度が出せれば、自身に同じことができる技術がある、ということです。
同時に、人間がどこまでのことができるか、も同時に把握できるのです。
 
 
以上、二つの種類の模写により、自分と人間の力を詳細に知ることができます。
力を把握すれば、作品計画の見通しも正確になりますし、何を訓練すべきかも見えます。
また、模写を通して一度できたことは、自分の中に蓄積されるのも利点です。
 
模写は、ただの真似ではないことがお分かり頂けたでしょうか。
 
 
 
 
 
 

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