絵画を入り口に制作活動をしてきた人で、長く絵画表現をしていると、
「自分は本当に絵画で制作活動していくべきなのか」と表現メディアについて考える時があると思います。
つまり、「絵画を表現メディアの柱にすべきか?」と問うているわけです。
そんな時は、他の興味があるメディアで制作してみれば良いのです。
現代アートには、映像、空間を使うインスタレーション、様々な表現を一緒にしたメディアミックス、パフォーマンス、自然現象をコントロールするアースワーク、などなど
あらゆる表現があります。
自分の表現メディアに疑いが生じているのですから、他の可能性をしっかり追求しましょう。
それは、一枚の絵を描くときに、色を変えたりタッチを変えて工夫するのと同じです。
「いや、オレはずっと絵画をやってきたんだ。だから絵画しかないんだ!」
というのは、ラクを選ぶための言い訳で、自分の求める表現への遠まわりになってしまいます。
また、「絵画をアート表現の柱にすべきか?」という問いそのものが、現代アートの重要なテーマです。
絵画をふくめ、表現メディアを問い直す作品を創る。
それが、表現メディアに疑問を抱いたあなたが、担うべきテーマかも知れませんよ。
例えば、写真を表現メディアにするのなら、印画紙に仕上げるまでの工程を見直す。
映像なら、編集の行程を見直す。
これまで当たり前とされてきたことを見直し、新たな見方を提示するのです。
私は現在絵画を制作していますが、それはたまたま絵画で新しい表現の可能性を
見出せているにすぎません。
新しい表現の可能性が見出せなくなれば、色んなメディアを試します。
実際、学生時代は絵画と全く関係ないパフォーマンスやインスタレーションなども
やっていました(講義とは関係なく)。
その経験は現在の絵画にも生きています。
何より、メディアの垣根を超えて表現を追求することは、ワクワクして楽しいのです。