歴史から作風を探すことについて

アーティストは、“自分の作風”を確立しようとします。
そのために、様々な苦労がともないます。

なぜなら、作風の確立とは、他のアーティストがやっていないオリジナル作品を制作していくことだからです。

その際、「過去の歴史を学び、歴史上から自分の作風を見つける」
というロジックの意見や、そのロジックを実践した作品を見ることがあります。
苦労を極力減らして、オリジナル作品を作る。ということです。

このロジックは簡単に言ってしまうと、

「世の中に出ている作品をマネする」
ということです。

このロジックが一見もっともらしく聞こえるは、
“歴史”という言葉を使用しているためです。

“歴史” と聞くと、重みを感じてしまいます。
しかし、このロジックでの“歴史”とは、“最近” という言葉を回避するために用いられたものです。

このロジックを“最近”という言葉を中心に言い換えるとわかりやすいです。

「過去の歴史を学び、歴史上から自分の作風を見つける」

⬇︎ 言い換えると、

「最近までの作品を学び、最近までのアーティストの作風から自分の作風を見つける」

どうですか。
一気に重みがなくなりますよね。

このもっともらしい、作風確立のためのロジックは、
「過去から現代まで、くまなくアーティストを探してマネする」
ということなのです。

そのため、このロジックを忠実に実践するアーティストの作品は、見るとすぐに “参照先” がわかります。
私のような “画集好き” には、なおさらです。

参照先がわかるということは、「マネしたことがわかる」ということです。

このロジックには、作品を生み出すことの必然性がありません。
自分が歩んできた人生や、独自の考え方が見えにくいからです。

作風を見つけるには長い年月を要することがほとんどで、ヤキモキするのもわかります。
しかし、そのヤキモキする状況も楽しんで、作風を見つけなければいけません。

でないと、“マネをするだけのアーティスト” になってしまいます。
そして結局、苦労することになるのです。

Pocket
LINEで送る

Comments are closed.