アーティストは常に制作をしていないと不安です。
作品を多く残すことが重要と無意識に考えているため、一日でも手を止めることは“後れを取る” と感じてしまうのです。
つまり、毎日制作しなければならない、と考えるようになります。
それがアーティストのあるべき姿となるのです。
逆に、毎日制作し続けることが、安心感につながります。
作品を多く残すことになりますし、“進んでいる” 気になるからです。
「精一杯やれば悔いはない」という言葉をよく聞きますが、
時間を最大限制作にあてることが、“精一杯やっている感” を醸成してしまうのです。
しかし、“精一杯やっている感” は怠慢になるリスクがあります。
毎日きちんと制作ができているということが、良い作品を作るための工夫の余地を減らすのです。
毎日の制作は、自動で作品の価値を高めることにはなりません。
“作品の価値を高める”には、「毎日制作する」「作品数を増やす」以外にも必要な要素がたくさんあるからです。
「毎日制作する」は“作品の価値を高める” ための、必要条件であって、十分条件ではないのです。
毎日制作できない人も、「毎日制作するのがアーティスト」と考えた途端に、自分がアーティストとしての資格がないと考えてしまいがちです。
工夫を生むチャンスがあるにもかかわらず、もったいないことです。
世の中の「価値ある作品」「人々の想像力を刺激する作品」は、様々なアーティストが様々な年齢の時に制作されたものです。
アーティストが若い時に生み出された作品も多くあるのです。
つまり、「価値ある作品」は “長い年月をかけなくても、生み出されている” ということなのです。
時間をかけることに満足してはいけません。
時間投資以外の、“作品の価値の高め方” もしっかり検討しましょう。