制作のモチベーション維持に、アメとムチは必要か

 

学習や訓練が必要なものごとには、続けていくためのモチベーションが必要です。
アート作品を制作していくのにも、常に学習や訓練がともなうため、やはりモチベーションが必要です。

モチベーションとは、行動意欲のことです。
行動意欲がないと、継続的な学習や訓練は厳しくなります。

このモチベーションを、初期型と近代型、そして現代型の3つのOSとして分けた書籍があります。

『モチベーション3.0』(ダニエル・ピンク著)です。

そのOSは、

モチベーション1.0 は、生存を目的としたOS

モチベーション2.0 は、アメとムチに基づく与えられた動機のOS

モチベーション3.0 は、自分の内面から湧き出る「やる気」に基づくOS

の3つです。

近年までの企業が重視してきた「成果主義」に基づく組織づくりじゃ、従業員のやる気を十分引き出せないですよ。ということに触れた書籍です。

この書籍では、企業や官公庁などの組織に働く人をメインに書かれています。

しかし、この本で書かれた問題点は日本のアート会にも当てはまります。

絵を描いたり、工作することなど、モノを作ることが好きだった子どもや学生は、美術関連の進路を歩むことになります。
美術関連の進路を歩むまでは、自分の内面から湧き出る「やる気」でモノを作っています。
なぜなら、誰もモノを作ること自体が好きな子どもに、アメとしての報酬を与えたり、ムチとしての罰を与える必要がないからです。

しかし、美術関連の進路を歩みはじめた途端、美大への合格、コンペへの入選、企業への就職、などの成果報酬型のモチベーション2.0になってしまうのです。

企業や官公庁と同じ問題を、日本のアート関係機関も抱えているのです。

アートに関わって生き続けようとすればするほど、アメとムチがあるモチベーション2.0の中に入れられてしまいます。

そこで、純粋に“アートそのものを楽しむ” というモチベーション3.0が必要となってくるのです。
そのためには、アート関わるあらゆる周囲のものを充実させる、という意識が必要です。

(過去エントリー:『アートを続けるために必要なもの』)

 

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