静物画で学べる重要なこと

 

 
絵画を学ぶ時、静物画を描くことがあります。
静物画は、適度なサイズの日用品モチーフを複数で組み合わせ、一つの台上にセッティングされたものです。
 
西洋画の歴史で静物画が出てきたのは、当時の生活の記録を残したり、訴えたいことを暗示する、などの意義があったわけです。
しかし、静物画は作品としてだけでなく、絵画の学習の一環としても、静物画はずっと描かれ続けています。
 
では学習の一環としての静物画で、何を学べるのでしょうか。
 
 
静物画は、単にモチーフを複数一緒にしただけではありません。
実は、静物画はモチーフの位置関係をイメージする力を高めるのに最適なのです。
 
なぜ位置関係をイメージする力を高められるか。
それは、視界に収まる範囲で複数のモチーフを描けるからです。
 
視界に収まるということは、複数モチーフのセットをあらゆる角度から観察できます。
角度の違いにより、異なるモチーフの見え方、位置関係を把握することができます。
 
また、素材の違うモチーフを同画面に描くことで、質感を描き分ける必要が生じます。
質感を描き分けることで、描写の幅も広がります。
 
静物画の学習では、位置、質感、あらゆる関係性を、イメージする力が高まるのです。
 
複雑な関係性を表現することは、モチーフの構造を想像する力も高まります。
さらに、絵画の画面内を、豊かに構成する力も高まるのです。
 
人物画や、動物画などの生き物とは違い、静物画は動きません。
動かないからといって、つまらないわけでも、劣っているわけでもないのです。
 
静物画を描くことで、静物画だけで学べる、豊かな構造を学ぶべきなのです。
 
 
 
 
 
 

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