ビジネス書や自己啓発書では、よく「好きなコトを仕事にすべき」という意見が展開されています。
その主な理由としては、
「好きなコトを仕事にするから、続けられるし、うまくいく。」という理屈が書かれています。
この言い回し、強引な意味を含んでいます。
それは、
“好きなコトに関することは、何でもできる” という意味です。
人は、好きなコトに関わっていれば、何でもできるわけではありません。
好きなコトの中に、嫌なコトや辛いコト、我慢できないコトなど、色んな要素がはいっています。
つまり、「好きなコトを仕事にすべき」という意見は、
“好きなコトの中の嫌いなコト” が考慮されていないのです。
では、ある人の好きなコトをみてみましょう。
例えば文章を書くのが好き、という男子大学生がいたとします。
卒業後は、文章を書ける仕事に就きたいと考えています。
新聞社や雑誌のような記事を書く仕事を希望しています。
ところが彼は、政治経済のことに興味があり、それ以外の文章を書くのは大嫌いです。
希望通り新聞社の政治部に行けたとしても、政治と関係が薄いイベントを取材することもありそうです。
だからと言って、いきなりフリーの政治記者になっても仕事はなさそうです。
このような人が、好きなコトを仕事にしようとしても、“好きなコトだけにに囲まれる” ことは、ほぼありません。
大抵の場合、好きなコトの中に
“乗り越えなければならない嫌いなコト” が含まれています。
勉強が大好きだけど、数学が大嫌いな人。
サッカーが大好きだけど、走り込みが大嫌いな人。
ファッションデザインが大好きだけど、裁縫が大嫌いな人。
現在、好きなコトを仕事にしている人も、その仕事の中に嫌いなコトはないでしょうか。
「好きなコトを仕事にすべき」という本よりも、“好きなコトの中の嫌いなコト” をどう乗り越えるかの方が、必要です。
なぜなら、好きなコトを仕事にしたいっていうのは、誰しも考えてますから。
たとえ “好きなコト” を仕事にしても、その中に “どうしようもなく嫌いなコト” が見つかってしまったら、続ける意味があるか検討が必要になります。
好きなコトの中に、“好き” を大幅に超える “嫌い” が入っていることがあるからです。
人間関係と同じです。
仕事にしたい好きなコトができたら、まずは、“好きなコトの中の嫌いなコト” が乗り越えられるものかを、見定める必要があるのです。