美しさと、心地よさ

 

現代アートにおいて、“コンセプト” が非常に重要なことは、以前のエントリーでも書かせて頂きました。

そして、“コンセプト” を重視しすぎてしまうと、様々な要素を見失ってしまうリスクも、以前のエントリーで書かせて頂きました。

そもそも、アート作品に絶対必要な要素はあるのでしょうか。

もちろん、テーマやコンセプトが超重要なのは疑うべくもありません。

しかし、テーマやコンセプトは、アート作品を “新しいステージ” に引き上げる要素です。
つまり、原始時代とはいかずとも、過去の人類が “アート作品の新しいステージ” を意識して制作していたかというと、そんなはずはありません。

では、テーマやコンセプトが存在しなかった時、作品の要素は何が重要だったのでしょうか。

それはおそらく、「美しさ」や「心地よさ」だったのではないでしょうか。


絵画に限らず、モノをつくるということは、「記録」として後にモノを残す行為です。

モノをつくってきた先祖たちはきっとわかっていたはずです。
つくったモノは残り、家族や子孫や仲間たちにずっと見られる。ということを。
そしてつくった自分自身も、つくったモノは見続けることになる、とわかっていたはずです。

では、残り続けるモノをつくるとき、先祖はどんなことを意識するか。
それはきっと、誰がいつ見ても「美しい」と思ったり、「心地よい」と感じるものではないでしょうか。

現代アートは、様々な手法、様々なメディア、様々なコンセプトで溢れかえっています。
その中で、「美しさ」や「心地よさ」といった感覚は必須には見えません。

しかし、作品という形で残り続けるものである以上、何らかの「美しさ」、何らかの「心地よさ」を作品に込めるべきなのです。


 



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