過去には敬意を払うべき

 

先日、ある雑誌の特集記事で、西洋絵画の歴史が取り上げられていました。
その記事に、ある人気アーティストが寄稿していました。

その寄稿では、レオナルド・ダ・ヴィンチの作品と、レオナルド・ダ・ヴィンチが存在する以前の画家の作品を比べていました。

比べていた内容は 「背景の描き方」についてです。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「背景の描き方」を褒め称え、ダ・ヴィンチ以前の画家の「背景の描き方」を “下手くそ” とバカにしていたのです。

驚きですね。

レオナルド・ダ・ヴィンチが生きた時代は、当然 “下手くそ” といわれた画家よりも後です。
しかも、ダ・ヴィンチの時代はルネサンス期で、歴史的に活躍した画家が多く、ダ・ヴィンチ本人も色んな影響を受けたでしょう。

レオナルド・ダ・ヴィンチが歴史的に突出した画家なのは疑う余地がありません。
しかし、時代を遡って、絵画の同じ技術点を批判するのは大きな問題です。

100年前の自動車が、現代の自動車より時速が遅い。
とバカにするのと同じです。

これでは、バカにするほうが笑われてしまいますよね。


過去から続くイノベーションを経て、技術は進化するのです。
過去を振り返って、過去の技術を批判することは誰にでもできるのです。

多くの人が読む雑誌で絵画史を書くのであれば、その時代にどういう技術が開発されたかを、しっかり書くべきです。
そして、新しい技術がどのように時代に活かされ、どのように次の世代に伝わったのかも書くべきなのです。

人は、どういう環境で、どういう影響を受けると “新しいモノ” を生み出せるか。
そうしたクリエイティブの原点を追う視点を、アーティストの書き手なら持ってほしいものです。



 



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