なぜ現代絵画は「額縁」を喪ったのか

 

キャンバスに描かれた油絵を部屋や美術館などの展示場に飾るとき、ずっと主流だったのは、キャンバスを額縁に入れて飾る方法でした。

もちろん、いまでも額縁に入った絵画を多くみることはできますね。

しかし、現代アートの展示で主流の方法は、“額縁に入れない” ことです。

なぜ描かれた作品が額縁を必要としなくなったのか。

それは、“セザンヌ以降” の絵画の自立や、インスタレーションなど “空間” と関係する作品が登場したことなど、複合的な理由があるのでしょう。

絵画が、絵画の限界を超える。

そして、周囲の空間と画面が関係を持ちます。

そのとき、額縁があると、周囲の空間と画面はその関係を弱めてしまいます。
そうした事情から、自然と絵画は周囲との関係を強めるため、“額縁との関係” を見直すことになったのです。

額縁を喪った絵画は、存在感を弱めるどころか、あらゆる環境と “関係する” 可能性を見出したのです。


 


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