岡本太郎は、きっと繊細な人

 

『芸術は爆発だ』という言葉が有名で、多くの人から今なお愛される岡本太郎。
作品では、『太陽の塔』が有名ですよね。


そして、同氏が手がける絵画も、彫刻と同様に非常にパワフルかつ独創的です。

その絵画は、黄色や赤色や青色などの、『原色』がふんだんに使用しています。
『原色』は、一色だけでも画面に使用すると、非常にパワフルで、明るく強い印象を持たせます。

『太陽の塔』の天に突き上げるようなパワーと、同氏の絵画にみる『原色』のパワーからすると、『芸術は爆発だ』の同氏の言葉とおり、岡本太郎の作品は “爆発するような、力強さ” にあふれて見えます。

しかし、岡本太郎の作品群の、他の要素に目をやると、思わぬ共通性が見えてきます。


思わぬ共通性。
それは、“暗さ” と “切ない表情の生きものたち” です。

まず、 “暗さ”。

岡本太郎の絵画作品のほとんどは、“黒” がベース色として使用されています。また輪郭線にも、同様に “黒” が使用されています。

その “黒” は、「暗さ」や「闇」を思わせます。

ほとんどの作品は、この「暗さ」や「闇」から、モチーフとなる「生きもの」や「人のようなもの」が出てきているかのようです。

暗さや闇を感じるような気持ちを自信が感じていたからこそ、このような “闇を突き破る” ような絵画が描かれたと思わせます。


次に、 “切ない表情の生きものたち”。

岡本太郎のモチーフは、「何」と断定できない “生きもの” が登場します。
「人」のようなもの、「魚」のようなもの…。

それらは、原色のパワフルな色彩と、キュビスムを思わせるシャープな輪郭線、を持ち合わせています。

しかし、その生きものが持つ表情は、パワフルな色彩やシャープな輪郭とは裏腹です。

その表情は、どこか哀しげで、虚ろげで、憂いを感じさせます。
きっと、その生きものたちは、決して “楽しくはない” 事情を背景に抱えているのでしょう。

つまり、そうした生きものを描ける岡本太郎本人が、哀しさや不安などを、よく理解できる人だったということです。


岡本太郎は、非常に繊細な心を持ち、周囲にすごく気を遣って生きていたのでしょう。

その証拠に、まとめサイトの『NAVER』や、同氏の著書には、岡本太郎の様々な言葉があります。
それらは、多くの挫折した人、多くの弱き人を励ますメッセージが多いです。

つまり、岡本太郎本人も、純粋なる「天才」ではなく、迷いや不安を抱え、必死にアーティストとして生きようとしていたのです。

そして、最大の魅力は、そうした迷いや不安を、ネガティブに表現するのではなく、パワフルな絵画や彫刻、ユーモラスな言動で表現していたことです。

だからこそ、今なお、多くの若者は、岡本太郎に惹きつけられるのです。


 



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