生い立ちから推測する、フランシス・ベーコンの作風

 

フランシス・ベーコンは、独特な人物画を描き続けたアーティストです。
以前も『Atlessのアトラス』で取り上げたことがあります。

今回は、フランシス・ベーコンの作品そのものの魅力ではなく、その作品のベースとなる部分がどのようにアーティスト本人の生い立ちと関係するか考えてみます。


フランシス・ベーコンの絵画で常に描かれるのは、「人物」と「背景」です。

まず、「背景」です。

フランシス・ベーコンの絵画の背景は、常に “家具” が描かれています。
ベッド、椅子、ソファ、テーブル、鏡、観葉植物と入れ物、などの家具が登場します。

一枚の作品に、サラッと1〜2個の家具が描かれています。
描かれた家具の形状はこだわりが感じられます。

こうしたオシャレな家具がコンスタントに登場していたのは、フランシス・ベーコンが家具設計の仕事をしていた影響であることは、メジャーな指摘です。

また家具設計と合わせて室内装飾の仕事をしていました。
このことは、常に背景が “部屋設定” であることからも、推測されます。


次は、「人物」です。

フランシス・ベーコンの作品に登場する人物は、常に「何かを叫んでいる」ように口を開いています。
この苦痛な「叫び」も、フランシス・ベーコン本人の「叫び」なのではないでしょうか。

フランシス・ベーコンは、小児生喘息を患っていました。

その時の苦しみが根底にあり、その後さらに彼の人生において大きな苦しみがあったとすれば、それわの苦しみが人物画の表情に投影かれても不思議はありません。


また、「背景」でよく設定されている閉じられた部屋の空間は、喘息で自由に外に出られなかった記憶ではないでしょうか。

喘息そのものも、症状が患者を圧迫するという意味において、せまい空間の原因になっているように思えます。


このように、アーティストの表現は、本人の人生と深い部分で繋がっていることが多くあります。
つまり自分の表現を探すのなら、自分の人生を振り返ることがヒントになるのです。


 



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