クロッキーに最適なモチーフ

 

 
以前のエントリーでも書きましたが、絵画を学ぶ人にとって、「クロッキー」は非常に重要なトレーニングです。
 
「クロッキー」では、瞬時に “モノ” の形をとらえることが必要なため、量をこなすことになります。
短時間を繰り返し量をこなして、様々な “カタチ” を直感的にとらえる力を養うのです。
 
クロッキーをするときは、同じモチーフを同じ角度から何度も描くより、モチーフや角度やポーズを変えたほうが訓練の幅が広がります。
 
クロッキーの訓練は、「静物画」でも構いません。
 
しかし、静物画はその名の通り、“止まったモチーフ” です。
モチーフの設定を変えるには、描き手が移動して、モチーフを見る角度を変えるしかありません。
 
クロッキーで、瞬時にあらゆるモチーフをとらえる力を高めたい場合、最高のモチーフは “人物のモデル” です。
人物のモデルに、“数分おきにポーズを変えてもらいながら” クロッキーをするのが、描き手にとって最も効果的です。
 
 
しかし。
 
“人物のモデル” がクロッキーで最高のモチーフだとしても、それは “最適なモチーフ” ではありません。
なぜなら、“人物のモデル” を実施できる時間はなかなかないからです。
美術関連の学校でさえ、限られた時間しか実施できないのです。
 
 
では、クロッキーに “最適なモチーフ” は何か。
 
そうです。“手” です。
“自分の手” こそ、クロッキーで最適なモチーフなのです。
 
 
“手”が最適な理由としては、
 
① 手軽で必ず用意できる
② ポーズを無限に設定できる
③ “モノ”の成り立ちの基本構造である
④ 生きているモチーフである
 
といったところでしょうか。
 
 
理由は①から④を見てのとおりですね。
 
利き手で画材を握るなら、その反対の手がモチーフですね。
① のとおり、手軽で必ず用意できますね。
 
理由 ② です。
手は一本の指でも3つの関節があります。
片手(指だけ)で14つの関節(親指は2つ)を持つことになります。
関節が複数あるということは、かけ合わせで無限にポーズを設定できます。
 
しかも、角度や距離の設定も自由。
まさに “手” は、ポーズの “宝庫” なのです。
 
理由 ③ は、手は “モノ”の成り立ちの基本構造を象徴している点です。
木を見てわかるように、全体を支える芯となる  “幹” があり、そこから枝が伸びていく。
 
手も “芯” となる “腕” があり、そこから “指” につながっている。
手をクロッキーすることは、“大きな構造から小さな構造への流れ” をつかむきっかけになります。
 
④ は、冒頭で書いたように生きているモチーフだからこそ、様々なポーズがあり動きがあります。
 
 
いかがでしょうか。
 
クロッキーは、とにかく生きているモチーフで、かつ数をこなすのが重要です。
まさに、“手” はクロッキーに最適なモチーフなのです。
 
 
 
 
 
 
 

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