“モノトーン” で制作する場合の条件

 

 
アート作品には、色のない、“モノトーン作品” が存在します。
 
“モノトーン作品” は、“クール” でカッコいい印象があります。
 
しかし、本来アート作品には、テーマの核心に少しでも迫るため、“色彩” を用いるのが一般的です。
「印象派」の作品群が “モノトーン” ですと、非常に悲しい感じですし、テーマ性もなくなりますよね。
 
作品から色彩をなくすということは、“テーマ性” を著しく損ねる “リスク” があるのです。
 
 
それでも、やはり “モノトーン作品” は世の中に存在し、“クール” でカッコ良いものもあります。
 
そうした作品が存在すれば、当然、アート作品を制作する人間としては、“モノトーン作品” を手がけることに興味が湧きます。
 
 
では、リスクがありながら “モノトーン作品” をしっかり仕上げたい。
となった時、何に気をつけて “モノトーン作品” に挑むべきでしょうか。
 
気をつけるべき点。それは主に二つです。
 
 
それは、
「モノトーン表現が必須となるテーマを持たせること」
「モノトーンにより際立つ表現を持たせること
 
の二点です。
 
 
一点目の「モノトーン表現が必須…」について。
これは、わざわざ人類が多く開発した色彩を使用しないわけですから、モノトーン作品にする “根拠” が必要です。
たとえば、
 
「遠い昔を想起させるために色彩をなくす」
「人間の色彩感覚にたいする意義を問い直す」
 
など、モノトーン表現をする “根拠” が必要なのです。
 
 
二点目は「モノトーンにより際立つ表現を持たせること」です。
これは、モノトーンにすることにより、“色彩以外の絵画要素” が強調されなくてはいけない、ということです。
 
油絵のテクスチャ感、筆などのタッチ、アクリル画の “垂らし描き” …。
こうした表現は、モノトーンにすることで際立ちます。
 
逆にいうと、こうした “色彩以外の絵画要素” に特徴を持たせないまま、モノトーン表現をすると、モノトーンの根拠が弱まるのです。
 
 
 
以上の二点が考慮されていれば、“モノトーン作品” は成立します。
 
こうしたモノトーン作品の制作条件について書くと、
 
「じゃあ、なんで “デッサン” はモノトーンなんだ?」
と思われる人もいるでしょう。
 
デッサンについては、もともと “形状を正確に描写する” という “広義のテーマ” があります。
だからこそ、白黒で描き、形状の正確さに着目し、形状をうまく捉えられているかチェックするわけです。
 
やはり、ずっとモノトーンで表現されているものには、それだけの理由があるのです。
 
 
 
 
 
 
 

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