描き込んで、失われるもの

 

 
絵画指導の現場では、“描き込み” を指導されます。
 
なぜなら、デッサンにおいては、モチーフの “正確” な描写が必要だからです。
モチーフを “正確” に描こうとすればするほど、描き込むことになります。
 
しかし、描き込みが必要と “強くいえる” のはデッサンのみです。
 
にもかかわらず、色彩が存在する「水彩画」や「油彩画」などにも、“描き込み” を半強制する指導者も少なくありません。
 
「水彩画」や「油彩画」に “描き込み” を深めていくと、ある問題が生じます。
 
 
その問題とは何か。
 
それは、“描写における個性の消失” です。
 
 
「水彩画」や「油彩画」で描き込もうとすればするほど、“細い筆” が必要になります。
細かな部分をきっちり描き込むには、細い筆が最適だからです。
 
そして、多くの指導者が多くの学習者に、「油彩画」での “描き込み” を勧めるとどうなるか。
 
そうです。
みんな同じように “細い筆” を使って、きっちり描き込むことになります。
 
当然、細い筆で描かれた “細いタッチ” では、個性は見えにくくなってしまいます。
個性が見えにくいということは、“描写による個性” はなくなったも同然です。
 
 
もちろん、テーマやコンセプトの設定上、細かくきっちり描き込むことが必要な人もいるでしょう。
しかし、その場合は、個性となるタッチなどの要素が目立たなくなることは、あらかじめ覚悟しておかなくてはいけないのです。
 
 
ではー何かあれば教えてね!
 
 
 
 

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