絵画と彫刻の境界

 

 
絵画と彫刻の違い、は何でしょうか。
 
「立体かどうか」でしょうか。
だとしたら、極めて両者の違いは曖昧です。
 
絵画にはコラージュという技法があり、立体物をはることが可能です。
立体が貼られた絵画は、もはや立体です。
 
厳密にいえば、絵の具だけで描かれていたとしても、絵の具の厚みは「立体」といえなくもないです。
 
つまり、「立体かどうか」は絵画と彫刻の差にならないのです。
 
 
では、他に決定的となる “違い” は何でしょうか。
 
「移動できるか」
「壁に掛けられるか」
 
などでしょうか。
いえ、これらも決定的な違いとなる要素ではありません。
 
では、決定的な違いは何か。
 
それは、「鑑賞範囲」です。
 
絵画は、「平面」に描かれるのが基本となるため、どんなに立体的な素材を足したとしても、作品に“裏面” が存在します。
つまり、180°の鑑賞範囲なのです。
 
一方彫刻は、絵画のような 「平面」という “縛り” がありません。
厳密にいうと “地面” が「平面」となりますが、全体像に影響を与える要素ではありません。
つまり、彫刻は絵画と違い、360°が鑑賞範囲なのです。
 
これが、絵画と彫刻の決定的な違いです。
 
 
もし、絵画の表から発生した要素が、裏まで行ったとしたら、それは “絵画による彫刻への侵攻” といえそうですね。
今のところ、そのような定義でアプローチした作品は見たことがありませんので、やれば新たな表現となるかもしれません。
 
 
昔は、たまに見かけることがあった鹿の剥製などについては、その剥製部分が作り物の場合、“彫刻” といえるでしょう。
なぜなら、主要である鹿の頭部は、ほぼ360°鑑賞できるからです。
 
 
絵画と彫刻の違いを考える時は、鑑賞範囲を意識しましょう。
そして、自身の制作キャリアやアート系の専攻に悩んだら、どこまでの “鑑賞範囲” に自分が魅力を感じるかを考えるのも一つでしょう。
 
 
 
 
 

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