絵画作品に “記号” や “マーク” を用いる難しさ

 

 
絵画において、多くの場合は対象としての「モチーフ」が必要です。
モチーフを設定する。
 
すると、こんどは「背景」が必要になります。
 
テーマを自由に設定して描ける場合は、「背景」をどのように描いても自由です。
 
 
たとえば、背景に “星” のマークをたくさん散りばめても良いわけです。
 
しかし、“星” のマークそのものは、強い意味をもちます。
この、 “既に持っている意味” というのは、かなり強いです。
 
リンゴや瓶や花などオーソドックスなモチーフ。
 
これらの静物画の背景に、“星” を散りばめると、絵画全体の意味が “星” のマークに委ねられます。
これは、“星”のマークそのものの形状による効果と、“マンガ” や “広告” の表現による影響が大きいのです。
キラキラ効果っていうヤツです。
 
つまり、既に “強すぎる意味” を持ってしまったもの。
 “星” のマークや、多角形、放射線や渦巻き表現、など多くあります。
これらを安易に扱ってしまうと、その “強すぎる意味” に絵画が包まれてしまうのです。
 
その “強すぎる意味” に包まれた絵画は、本来作者が描こうとしたモチーフやテーマの主張が弱まってしまうのです。
 
こうした「記号」や「マーク」などは、“強い意味” を持つだけに、制作者にとっては魅力です。
魅力的であるからこそ、“取り扱い” には慎重にならなければいけないのです。
 
とはいえ、こうした「記号」や「マーク」で強い意味を持った作品を “自分の表現の強さ” と感じてしまうことがあります。
これは、大きな誤解となっているわけです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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