“モッタイナイ” 美学が抱えるリスク

 

 
「もったいない」という言葉は、ものを慈しむ日本人の美学が生んだ言葉です。
「Mottainai」は海外でも認知が進んでいるようです。
 
食事だけでなく、生活用品でも電気ガス水道などのインフラでも、あらゆるところで “もったいない” という意識は浸透しています。
 
もちろん、アートにも “もったいない” という意識は浸透しています。
 
描きかけの紙、あまった絵の具、あまったメディウム、あまった顔料…。
次回に使うにはもう乾いてしまう、保管の方法も難しい。。
そうした場合、“処分” せざるをえない場合があります。
 
そんな “もったいない” シチュエーションに制作の場で遭った場合、いくつか気をつけなくてはいけないことがあります。
 
それは、
「“もったいない” 美学で、制作の目標を崩さないようにすること」
です。
 
 
なぜ “もったいない”美学は、制作の目標を崩すか。
 
たとえば、一日の制作の終わりに、絵の具が残ったとします。
その絵の具は、次の行程で使用する予定はありません。
 
そんな時、“もったいない” という気になって、絵の具を最後まで使い切ってしまう。
すると、“予定外の制作進行” になってしまいます。
 
つまり、“もったいない” からといって、あまったものを使ってしまうと、どんどん制作の目標が変わってしまうのです。
 
 
とはいえ、やはり毎回捨ててしまうのは “もったいない” ですね。
ではどうするか。
 
“あまった素材” は、“あまった素材用の支持体” を用意しておけば良いのです。
 
こうして “描く支持体” を分けておけば、計画的に素材を使う「メインの制作」と、あまった素材を使う「実験の制作」の2パターンになります。
 
 
盲目的に “もったいない” を貫くのは、結果的に傑作を逃すという “もったいない” 事態を招く可能性があります。
 
“もったいない” にどっぷり浸かるのでなく、うまく付き合っていきましょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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