正しい絵筆のメンテナンス

 

絵筆をいつまでも快適に使いたい。

絵を描く人としては、当然の要求です。
しかし、思いの外、簡単に絵筆は “悪く” なってしまいます。

“悪く” なるというのは、絵筆の毛先が一方向にまとまらず、毛先がバラバラに広がってしまう状態です。

この状態の原因は、絵筆の “根元” に、絵の具の “粒子” が溜まるからです。
粒子が詰まれば詰まるほど、筆が開いていきます。

では、どうすれば粒子の侵入を防げるか。
しっかり洗うことはもちろん大切ですが、それだけでは不十分です。

制作上の各行程で、対策が必要です。
そうすれば、完全に防ぐことは不可能ですが、“緩和” することなら可能です。


筆に対する粒子の侵入を防ぐには、“3つの行程” で対策が必要です。

それは、


① 筆を画面にあてる行程

② 画面に絵の具を乗せたあとの行程

③ 筆を洗ったあとの行程


の3つです。


まず、①の筆を画面にあてる行程。

画面に絵の具を置く。
すなわち画面に筆を置く時に注意すべきは、筆を画面に押さえつけたり、擦り付けすぎないことです。

絵の具をつけた筆を、画面に押さえつければつけるほど、絵の具の粒子は “筆の根元” に詰まっていきます。

画面に広めに絵の具を塗りたいときも、できるだけ押し広げず、優しく押しましょう。
あるいは、根元まで筆を押し付けずにすむ、大きめの筆を使いましょう。


次に、②の画面に絵の具を乗せたあとの行程です。

画面に目的の絵の具を乗せると、そのあとの筆は、放置せず、筆洗などに浸けておくことが大切です。

油絵の具であれば、揮発油。
水溶性絵の具であれば、水。
といった具合です。

絵の具と同じ属性の溶液に浸けておけば、絵筆の根元で粒子が乾いて定着するのを防ぐことができます。

特に難しいことではありません。
何度も習慣付ければ、筆洗に入れないと気が済まなくなります。


最後は、③ 筆を洗ったあとの行程です。

筆を洗ったあと、乾いたタオルや布で水分や油分を拭き取って終了していると思います。

それでも良いのですが、もっと絵筆を長持ちさせるなら、洗い終わったあと、さらに “綺麗な筆洗” に入れておくのです。

そうして1、2日待てば、洗ったときに取れなかった絵筆の根元の絵の具が、筆洗に漏れ出ます。

ここまですれば、かなりの粒子を絵筆の外に出せるため、絵筆の寿命を大幅に延ばすことができるわけです。

場所や時間の関係上そこまでできない人は、仕方がありません。


いかがでしょうか。

絵筆を長持ちさせることは、絵画制作のコストを抑えることにつながります。

ぜひ絵筆の使用方法を見直してみてください。


 



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