仕事は楽しいものか

 

 

世の中ではよく、

「好きなことを仕事にしよう」とか「仕事を楽しもう」というフレーズを聞くことがあります。

 

あたかも、上記を実施することが絶対的に正しいことのように謳われています。

上記のフレーズを見聞きし、実施できていないと、

「自分は本当に正しい人生を生きていないないのではないか」

と疑問すら抱いてしまうようなフレーズなのです。

 

では実際、好きなことを仕事にした場合、それで楽しく毎日をおくることはできるのでしょうか。

そして、その仕事は楽しめるものでしょうか。

 

現実は、常に楽しく仕事をするのは難しい、でしょう。

 

好きなことを仕事にしても、辛いことやきついことがあります。

そして、仕事を “すべて” 楽しむことはできません。

 

たとえば、現代アートの作品を手掛けるアーティストという職業。

とても自由で、クリエイティブで、楽しそうな職業に感じますよね。

 

しかし、アーティストにもお客さんや取引先、制作スタッフやギャラリストや記者など、関係者との付き合いがあります。

一つの展覧会やプロジェクトで、誰かとうまくいかないと、多大な “ツラさ” をともないます。

その “ツラさ” は、“好きなこと” とは関係ありません。しかし、仕事の一部なのです。

 

そして、そのような対人との “ツラさ” を抱えて、制作という “仕事” を常に楽しむことは難しいのです。

 

つまり、仕事とはどんなに自分の好きなこと、好きな業界に入ったとしても、楽しいとは限らないということです。

現代アートでいえば、人間関係、展示先の環境条件、コスト、アイデアの枯渇、評価…。

様々な要素が “ツラさ” として待ち受けています。

 

そうした “ツラさ” すら楽しめ、という意見もあるでしょう。

しかし、 “ツラさ” にも種類があり、 “楽しめるツラさと “楽しめないツラさ” 、があるのです。

 

だからといって、仕事が楽しいものでないか。

そんなことはありません。

ただ、楽しさの中には “ツラさ” があり、 “ツラさ” の中に楽しさがあるのです。

 

冒頭で挙げた

「好きなことを仕事にしよう」とか「仕事を楽しもう」というフレーズ。

 

これらのフレーズは、現実の仕事にはどんなに好きな仕事でも、 “辛さ” がいくばくかあり、どんなに楽しめる要素が多い仕事でも、 “辛さ” がいくばくかある。

といことが排除されているのが問題なのです。

 

どんなに好きな仕事でも、多少の “辛さ” があります。

その “辛さ” を超えた先に、 “達成感” や “楽しさ” が含まれていれば、その仕事は自分にとって正しい仕事なのです。

 

どんな辛い時も、無理に楽しい “フリ” をする必要もありません。

楽しめる要素が自分にとってどれだけあるか、が重要なのです。

 

 

 

 

 

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