“長所を伸ばす” の落し穴

 

 
日本教育が語られる時に、よく聞く言葉があります。
 
それは、
「苦手なモノを克服させるのではなく、得意なモノを伸ばすべき」
という趣旨のフレーズです。
 
確かに得意なモノを見つけるのは重要です。
得意なモノを見つけ、磨きをかけ、人に必要とされるモノにする。
生きる上で必須のものです。
 
しかし、先のフレーズが独り歩きしてしまって、あらぬ誤解を招くのも事実です。
それは、「得意なモノ以外はやらなくていい」という認識です。
 
特に、アート系に関わる人は、この認識になってしまわないように注意が必要です。
 
「コミュニケーションが苦手だから、アートに携わる」
「学校の勉強が苦手だから、アートに携わる」
 
という理由を持っている人は、注意が必要です。
 
なぜなら、大半のアート従事者は、「コミュニケーション」も「学校の勉強の応用」も必要とされるからです。
 
つまり、「苦手なモノ」であるコミュニケーションや勉強を “克服” しないと、結局「得意なモノ」をする環境が悪化しかねないのです。
 
 
よく、「人生は何度でもやり直せる」というフレーズを聞きます。
しかし、“致命的” なことをしてしまうと、簡単にやり直せないのもまた人生です。
 
だからこそ、子どもは親から「マナー」や「言葉」を学ぶのです。
子どもがそれらを “苦手なモノかどうか” ということは考えません。
身につけないと、人生に “致命的” な障害を及ぼすことが分かっているからです。
 
世の中の仕事全般においても、「スーパーファインプレー」をしても、会社へ “致命的” な障害を及ぼしたらアウトです。
 
それ位、“大きなミス” をしないことは重要なのです。
 
 
アートでも同じです。
作品づくりで、見栄えをそこねる “致命的” なクセ(苦手なモノ)がある場合。
その “致命的” なクセを “克服” しないと、作品の長所は見えにくいものです。
 
 
自分が “苦手なモノ” は、しっかりと見つめ、“克服” すべきかの判断をしていく必要があるのです。
 
 
 
 
 
 
 

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